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2010年 個展によせて

 


                           門脇 佳吉(イエズス会神父 上智大学名誉教授)

 江花道子さんの作品にはいくつかの特徴がありますが、私の心を感動させる二つのテーマについて書き たいと思います。 毎回の展覧会にいつも登場するのは、ヴェネツィアです。聞くところによれば、最もしばしば訪れ、写生する のがヴェネツィアとか。 しかも、観光客が感嘆する、威風堂々たるサン・マルコ大聖堂はめったに登場しま せん。それよりもむしろ、幻想的に海に浮かぶサン・ジョルジョ・マジョーレ教会が必ず描かれます。空には 幼児の姿をした天使がヴァイオリンをもって天上的調べを奏で、金箔で描かれた叢雲が光り輝いています。 今回の展覧会にも、見事なNotte di Veneziaという作品に出合えるようです。

 もう一つの特徴は、聖母子像 です。  前回は、聖母も幼子イエスもとても繊細なタッチで優しく描かれ、それを見て、こんな優しい聖母子像は 見たことがないと感動しました。今年のMadonna con Banbinoは、それとは対照的に力強いタッチで、雄渾 に描かれているようです。それは、今までにない斬新さと躍動感に溢れているように思います。 さて、今年 の展覧会はどんな感動を与えてくれるでしょうか。大きな期待で私の心は膨らみます。

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